:その11:
TRAMONTO(トラモント/日没)
TRAMONTO(トラモント/日没)が鮮やかだと気がついたのは最近のこと。
郊外の家に越して来て、家の窓からTRAMONTO(トラモント/日没)が見えるようになってからだ。
空気の乾燥度のせいか、日本で見たTRAMONTO(トラモント)より太陽の発する色が赤に近いバーミリオンオレンジになる。
その鮮やかなバーミリオン色の光に照らされて、TRAMONTOの雲はサーモンピンクに輝き、影の部分は青紫になる。
太陽が沈むにつれ、光は淡くなり、彩度を落としプルシャンブルーの空に包まれる。地平線はオレンジから蒼への見事なグラデーション。
そこに、「今日も終わってしまった…」みたいな、悲壮感はない。
深い静かな夜への幕開け、そして明日への出発の予告と希望だ。
毎日TRAMONTOが見せてくれるショーを楽しむ。
毎日バーミリオンオレンジのTRAMONTOばかりではない。
暗い雲におおわれたグレーのTRAMONTO日もある。が、無彩色の濃淡の空が徐々に濃いブルーに変って行くのもまた美しい。
雨に煙るTRAMONTOもまた…
私はここにいて、TRAMONTOが見せてくれる様々な色味を、それがどんな色味でも、楽しんでしまう贅沢者だ。一度TRAMONTOの多様な美しさを知ったらそうせざるを得ない。
TRAMONTOは、日没であり、夕焼けです。
たしかにイタリアは雨が少なく、日没に夕焼けがあるのはあたりまえのようです。
TRAMONTOは名詞ですがTRAMONTAREと言う動詞もあります。
動詞になると、太陽に限らず、星や月もTRAMONTAREします。
TRA(〜を越えて)+MONTE(山)、つまり山の向こうに消えて行く様子からできた言葉です。
ローマから吹く風その11 2002年1月14日発行