:その6: MONETA(モネ−タ/小銭)

100リラのMONETA(モネ−タ/小銭)ってどっしりしてて好きです。
なんだか威厳があって、しっかり仕事をしそう。

直径270ミリ、重さはちょっとわからないけど、他のMONETA(モネ−タ/小銭)と比べても重い。
意匠もなかなか。古代ローマの末裔である事を誇っているような感じだ。

表は人物の左向き横顔。月桂樹の冠を頂いている。
顔を取り囲むように"REPVBBLICA ITALIANA"(イタリア共和国)の文字。
"REPVBBLICA"ですよ。"REPUBBLICA"じゃなくて"REPVBBLICA"。
偉大なローマの末裔、ラテン語風表記だね、ってなもんです。

裏は月桂樹の横にギリシャ風の衣服を着た人物。

こっちは古代ローマじゃないんだ。


100リラの弟分、50リラのMONETA(モネ−タ)と共に、古いだけに苦難の道を歩いて来た。

10年ほど前現行のMONETA(モネ−タ)と同じデザインをそのまま直径1センチほどに小さくしたMONETA(モネ−タ)を出した。これは小さくて財布の中で行方不明になり、みつけても50リラか100リラか見分けるのに時間を要して不便だった。
いつの間にか消えた。
よく考えて発行してもらいたいね。

次に、直径2センチ、デザインを変えて発行。これも数年で発行を中止。
今は昔ながらのどっしりが流通している。

なぜ、100リラと50リラのMONETAを目の敵にしてするんだろう?
100リラはどっしりとして立派だ。
そのどっしりが命取りなんじゃないかな?

発行当初はよかったけれど、MONETAの価値が下がり、今じゃ、こんなに立派なMONETAにすると採算があわないんじゃないかとみた。
20年前は、このMONETA一個でバス一路線に乗れ、あるいはコーヒーが一杯飲めた。
今100リラ一個で買えるものなんてない。
バスは1500リラ、コーヒーは1000リラ〜1500リラだ。

一度決めたものを使いにくい、わかりにくい、と数年でお払い箱にしてしまうのは、柔軟な合理的精神の現れか、はたまた、デザイン、鋳造を通じて莫大なお金が動いたろうから、なにか汚い裏話があったのか、詮索はしないでおこう。

* *
現在、50、100、200、500、1000リラのMONETAがある。
どれもこれもいっせいに間もなくお払い箱だ。


そう!
御存知、EURO導入が間近!
12月の公務員の給料はさっそくEUROで支払われる。

桁の大きいリラは、ついついお札で払い、おつりでMONETAばかりが増えて行った。
2002年の1月からEUROが流通を始め、3月からEUROだけになる。
その前に、あちこちのポケットやバッグや引き出しにあるMONETAをかき集めて使ってしまわないといけない。

EUROは額が低いからリラみたいにMONETAが溜まるばかり…にはならないだろうね。


:今日の単語:
MONETA
MONETA
は一人の女の子です。つまり、女性名詞で単数です。MONETAを二個以上持っていたらそれらはMONETE(モネーテ)になります。

この単数と複数、女性名詞と男性名詞の使いわけが、日本語にないのでついつい適当になってしまいます。
複数なのに単数で言うのを聞くのはすごくおかしいらしい。これは実害がないけど、女性名詞と男性名詞は、ちゃんと使い分けないと意味が違う単語になる場合があるので、こっちはしっかり覚えときましょう。
ちなみに男性名詞MONETOと言う言葉はありません。

絶対に間違えちゃいけないのはFICO(フィーコ/イチジク)です。最後をAにして女性名詞にすると……その…つまり、女性のある部分をさす、それも結構汚い表現になります。わはは。気を付けよう。間違えてウケを狙う…というのもいいですけど。
*      *
新しい欧州12ヶ国共通貨幣EURO。イタリア語ではそのまま「エウロ」と発音します。ヨーロッパはEUROPA(女の子ですね)「エウローパ」です。火星の衛星の名前にもなったギリシャ神話のキャラクターから来てます、だそうです。

EUROMONETAは、2EURO、1EURO、50CENTESIMI(チェンテーズィミ)、20CENTESIMI、10CENTESIMI、5CENTESIMI、2CENTESIMI、1CENTESIMI
の8種類です。表は12カ国共通、裏はそれぞれの国独自のデザインです。

"CENTESIMI"は百分の…の意味です。CENTO(100)から来てる言葉ですね。50CENTESIMIは100分の50です。

イタリアは:
2EURO:ダンテの肖像
1EURO:レオナルド・ダ・ヴィンチの人間比例図
50CENTESIMI:ミケランジェロ設計のローマ市庁舎前広場の星形模様とアウレリウス帝の像
20CENTESIMI:現代イタリアの彫刻家ウンベルト・ボッチョーニの作品
10CENTESIMI:ボッッティチェッリの「ビーナスの誕生」のビーナスの顔
5CENTESIMI:コロッセオ
2CENTESIMI:アントネッリの塔
1CENTESIMI:カステル・デル・モンテ
と、観光記念土産コインのようになっております。

興味のある方は
http://www.euro.ecb.int/it/section/euro0/specific.IT.html
でMONETEの顔をごらんいただけます。